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2015年08月12日
名古屋市が「街路樹再生指針」を策定しました。街路樹の根が盛り上がり通行の邪魔になっていたり、信号機や電線に枝が被さったり、歩道の幅とのバランスが悪かったりすることは珍しいことではありません。そして街路樹の維持管理費の減少ということも大きな問題です。これまでの「早期緑化、環境保全・改善」という方針から「安全性の確保、都市魅力の向上、管理コストの縮減」という方針に転換するとしています。別の言い方では「量の拡大」から「質の向上」に転換させる再生指針という位置づけです。
今後、倒れそうな木や根上がりしている木などを撤去して小さめの木を植えていくことになります。また大きな木をうまく剪定しながら小ぶりな木になるようにしたりします。そして今回の指針では特徴的なシンボル並木を作ったり、住民や事業者と連携して街路樹づくりをすすめるという方針が掲げられています。確かに歩道の幅とバランスのとれた街路樹にする必要があります。そういった意味では今回のような再生指針が必要だと思います。
ただ、今回この指針を一読した印象では、根本的なこと、「なぜ街路樹を植えるのか」ということと新しい指針の策定の考え方とのつながりが見えにくいなという印象です。再生指針には、「街路樹には景観形成や沿道環境の保全・改善、交通安全、防災等の機能があり、これらが複合的に発揮されることを目指しています」と街路樹の意義を示していますが、そのことと今回の指針の方向性がどう関係するのかが見えにくいということです。予算に限りがあるので地域と連携して=事業者に負担・市民に手伝ってもらって維持管理するというのではあまりにも安易だと思います。「〇〇〇会社が協力しています」というような看板を設置することがモチベーションになると思えません。
「名古屋の街路樹」にはこんな意義や思いがあるということを市民が共有しない限り長い期間を視野に入れた市民の協力は得られないと思います。落葉樹なのか常緑樹なのかだけでも大問題です。単に花がきれいな木という視点だけではだめだと思います。数十年後を視野に入れた再生を期待したいと思います。そうすることにより指針のサブタイトルである「街路樹再生により都市と市民が輝く名古屋を創造する」ことが実現するのだと思います。
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