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2014年11月12日
5%減税の検証についての今日の新聞各紙の見出しが興味深いです。
<中日>「減税5%効果市が試算 市内総生産 年1128億円増」 ただし囲み記事のところに見出しのフォントは小さくなっていますが「検証不十分 異論続々」となっています。(
<朝日>「名古屋市5%減税効果薄?」
<毎日>「経済効果 年200億円」
<読売>「生活に一定効果」
※ただ急用で名古屋を離れていたので朝日と読売新聞は見出しがどうなっているか電話で問い合わせただけで実際に紙面を見ていないことをお断りしておきます)
各社の減税に対するスタンスが現れているようです。まず気になるのが中日と毎日の額の違いです(記事の内容では中日以外は年200億円となっているようですが)。中日の年1128億円増というのが「突出」しています。簡単に言えば、毎日はじめ中日以外はシュミレーションによれば市内総生産(名目)は毎年200億円増加するという試算を報道しています。
これは名古屋市の検証プロジェクトチーム報告書のまとめの部分の中の「地域経済の活性化及び将来の地域経済の発展」の項目に記載がある内容です。報告書には「115億円の減税を行うことにより、10年間で1.76%程度、年平均では0.17%程度(200億円程度)の押し上げ効果が認められる。」と記載されています。ここで評価されていることは、年平均0.17%という数字で、これは成長率を示しています。
一方、中日が報道しているのは報告書の中の「市内総生産(名目)」の分析結果の内容で、報告書に「成長率の上乗せに伴う市内総生産の増加額は、10年間の合計で1兆1282億円(年平均1128億円)になる。」と記載されている部分です。そこで評価されているのは増加額、さらにいうとその合計額です。
つまり平成23年度にすでに1兆1785億円の市内総生産が存在しています。それが減税をした場合のシュミレーションによれば平成33年度に1兆2218億円になります。平成33年度と平成23年度の総生産を引き算してみましょう。(1兆2218億円)−(1兆1785億円)=433億円となります。これが現時点からシュミレーション上10年後に増える市内総生産の年額です。私が額に着目するとすれば、名古屋市内の総生産を生み出す力がどれだけ高まったかに着目するのですから、上記のような引き算をして10年後と現在との差を見ると思います。
中日の数値は、減税をした場合としなかった場合の毎年の増加額を10年分足し込んで1兆1128億円としてそれを10で割っている額を見出しにしています。私の発想の中ではこのような着目点はありませんでした。通常経済成長率は毎年どれだけ伸びたかが指標になるのであって、過去10年間の毎年増加した分の総和を議論するというのは私はあまり見た記憶がないし、どのような意味があるのかよくわかりません。
毎年の総生産の額は毎年の様々な要素のプラス分、マイナス分を計算して出てきている結果であって、毎年のプラス額が貯金のように積み上がって存在しているわけではありません(名古屋市の行革の効果がずっと積み上がって評価されることと同じ理屈です)。私もこの総生産額の増加額の総和という数値の意味をもう少し精査してみようとは思いますが、やはり中日の評価は減税の効果をより大きく見せようとするもので、経済的指標の評価としては適切ではないと思います。
数字自体は両方とも間違いはないのですが、数字のマジックで市民が振り回されても困ります。もう少し丁寧な説明を市民にしていかなければなりません。見出しの威力はすごく大きいのです。これは私はいろんなことで経験をしています。
検証結果の詳細を報告しようと思いましたが、また時間切れです。続きは明日に。
報告書の中の市内総生産の部分
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