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2015年07月01日
今日は財政福祉委員会で今後の名古屋市政運営にとって極めて重要な課題が提案されました。それは「市設建築物再編整備の方針(案)」で、本日の委員会で議論しました。市が保有する施設のいわゆるアセットマネジメントを今後どう進めていくかという基本的な考え方を取りまとめたものです。これからの人口減少社会、財政の硬直化という条件の中で施設の老朽化に対応しながらどう維持していくのかという問題です。
今後施設を長寿命化しても施設整備費は年間314億円(一般財源60億円)が不足すると試算されています。今回の方針で対象となるのは一般の市の施設、学校、市営住宅です。これらの施設の延べ床面積は1000万uにもなり、人口100万人以上の政令市では3番目の多さで、市民一人当たり4.4uになります。上位3都市は大阪、神戸、名古屋で市営住宅の戸数が多いということが影響しています。この床面積を今後2050年度末までに10%、つまり100万u削減しようという計画です。100万uと言ってもピンときませんが、一つの区役所で大体1万u、つまり区役所100か所分、ナゴヤドームだと20個分というボリュームです。何かとてつもない数字に感じます。今後この1000万uの内容を吟味しながら具体的な計画を策定していかなければなりません。
今回の再編整備の基本方針は「縮充」です。単なる削減ではなく、より多くの市民がサービスの充実感を得られるようにするという考えが込められています。この方向性自体は私も同意します。また新しいニーズに対応しようとするときは10%削減の範囲内で対応するというルールも示されています。しかしこの再編整備をすすめていくためには財源をどう確保するのかが重要課題です。そのことと絡み各局間の調整をどうしていくのかは明確なルールが決まっているわけではありません。
そしてその財源の問題は予算編成の仕組みに関わり、さらには定員管理にも関わってくる問題です。今日の委員会では、私は現状の財源配分型予算の方法論では限界があるのではないかと指摘しました。財政当局とは議論が平行線でしたが、やはり新たな予算編成の仕組みを考え出す必要性を強く感じています。あとアセットマネジメント基金の創設ということも提案されています。不要な土地の売却代金などを積み立てるというものです。しかしこれも具体的な運用についてはまだまだ不明の点もあるのでこれからもしっかりチェックしていく必要があります。
いずれにせよこの市設建築物の再編整備については「総論賛成各論反対」というものをどう乗り越えることができるのか、議員もまた各局も大きく問われています。乗り越えなければ「絵に描いた餅」「笛吹けど踊らず」になります。そうならないように取り組みをせざるを得ないわけですが、そのためによるべき基準は「どのようなまちづくりをするのか」という視点だと思います。このことについて具体的なビジョンを示す必要があります。今後8月のパブコメを経て9月には策定となります。今日の委員会では再編整備方針案が市全体にかかわる課題なので議会全体で学習する場の設定が必要ではないかとの提案もありました。千種区役所の老朽化への対応や千種図書館の建て替えはまさしくこの方針で議論されるべき内容です。今回の基本方針案、いろんな場面で議論を積み重ねる必要があります。
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