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2014年10月21日
昨日の内閣府・障害者政策委員会で「障害者差別解消法に基づく基本方針」の素案が示されました。この基本方針を元にして名古屋市でも対応要領が策定されることになります。今回の素案の内容を見てみると、
◎条例との関係
条例との関係のおいて、「障害者差別の解消に向けた条例の制定が進められるなど、各地で障害者差別の解消に係る気運の高まりが見られるところであり、法の施行後においても、地域の実情に即した既存の条例(いわゆる上乗せ・横出し条例を含む。)については引き続き効力を有し、また、新たに制定することも制限されることはない。」と指摘し、自治体による条例制定を促すような表現になっています。
◎不当な差別的取扱いの基本的な考え方
何が「不当な差別的取扱い」になるのかに関しては、2点指摘があります。
・障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。また、当該異なる取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合は、不当な差別的取扱いとはならない。
・したがって、障害者を障害のない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、障害者に対する合理的配慮の提供による障害のない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。
※この規定により特別支援教育は差別ではないということにするのだと思われます。ただ普通学級に通うことを希望する児童に対しては必要な合理的配慮を行うことは当然認められなければなりません。「行政機関等及び事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとする。」となっていて「単に予算がないから」というような漠然とした説明ではだめで、以下のような点を合理的にかつわかりやすく説明される必要があります。
○事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
○実現困難度(人的・体制上の制約、物理的・技術的制約、地域性)
○費用・負担の程度
○事務・事業規模
○財政・財務状況
◎合理的配慮について
合理的配慮は、社会的障壁の除去を必要としている障害者が現に存在する場合の個別の対応であり、障害者から意思の表明がある場合に、双方の建設的対話を通じた相互理解の中で提供されるべきものであり、代替措置の選択も含め、可能な範囲で柔軟に対応することが望ましい。
※「建設的対話」とはいったい何を指すのでしょうか。無理な注文はダメよという予防線なのでしょうか。ここでは「個別の対応である」ということが重要です。
◎相談窓口の明確化
法は、新たな機関は設置せず、既存の機関等の活用・充実を図ることとしており、相談及び紛争防止等のための体制整備に当たっては、国及び地方公共団体においては、相談窓口を明確にするとともに、必要に応じて相談や紛争解決に対応する職員の確保・充実を図るものとする。
※まず相談窓口を明確にすることが求められますが、問題は法律で想定していない既存機関ではない第三者の紛争解決の機関を設置できるかどうかです。既存の県社会福祉協議会の運営適正化委員会では現状では第三者的とは言い難いと思います。
年内には閣議決定に持っていこうというスケジュールなので国に対しいろいろと意見を出していかなければならないと思います。
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