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2004年03月04日

受益者負担問題について(2004年2月議会)

◎斎藤亮人議員
 今回の予算案の中で、受益者負担という問題が一つ大きなテーマになっています。今私の気持ちは、受益者負担という怪物が名古屋市庁舎内をうろついていると、そういう感じであります。今回の質問する動機は非常に簡単でした。予算に関する資料をもらいまして、使用料、手数料のところをぺらぺらとめくっていきますと、何かこういらいらしてくるわけです。そして、特に施設利用料の高齢者の大人料金2分の1のところに来ますと、私のいらいらは頂点に達しました。幾ら何でもこれはやり過ぎじゃないかというふうに思ったわけです。
 そう思う理由を幾つか述べながら質問をしたいと思います。3年半前の9月議会のときに、医療費助成への所得制限の問題について多く議論をしました。私も健康福祉委員会に属しておりまして、そこに市長さんも出席されましたので覚えておられると思いますけれども、そこで私は名古屋市の福祉のあり方についての基本的な議論をしていないのに、財源の問題をきっかけに制度を変えるのはおかしいのではないかということを言いました。それで、そのときの所得制限の導入というのは名古屋の福祉の大きな転換点ではないかというふうに市長さんに伺いました。そのときに市長さんは、その際、医療費の所得制限導入は抜本的、出直し的改革ではないと認識していると言われたわけです。覚えておられますかね。
 その議論を受けて、社会福祉審議会の中で福祉のあり方の議論がされまして、その結果、平成15年1月には今後の福祉のあり方についての意見具申というものがまとめられてきたわけです。その中で、サービスを受ける者と受けない者とさんざん言われているような公平化の問題、受益者負担の問題が出てきました。しかし、この意見具申の内容は、この意見具申に先立って示されています財政健全化計画の中で示されている内容をほぼそのまま踏襲しているだけです。つまり、その意見具申というものは、財源のない時代にどう対応するかという方法論だけが示されているわけです。手法の問題だけが示された。
 しかし、残念ながら、福祉施策の内容についての基本的な議論は、それから提案というものは、その意見具申の中では全く盛り込まれていないわけであります。それで、こういう流れを受けて、次は公的関与のあり方点検指針というのが示されて、これに基づいて定員管理や予算の審査、行政評価などをして施策の点検や検証、見直しをするんだというようなことになってきているわけです。この流れは非常に重要なことなので、振り返ってみたわけです。
 そこで、受益者負担について考え方を進めるわけですけれども、市長さんは、今回の予算の提案理由の中でも、受益者負担の適正化の中で市民利用施設の高齢者料金について統一化を図ることにしたんだというふうに言っています。しかし、答弁の中に何回も出てきますけれども、つまり、利用をしている、していないで不公平感があるんだと。果たして本当にそうでしょうかね。すぐ損得の話になるわけです。利用している人は得をしていて、利用していない人は損をしているんでしょうかね。私はこういう薄っぺらの受益者負担論というのは、市民の中に単に損得勘定を育てるだけじゃないかというふうに思うんです。だから、今の受益者負担論では不十分だと思うんです。そもそも何で税金を払うんでしょうかね。そこにはお互い助け合うという意味で税金を払っているわけです。
 私はスポーツセンターはほとんど、申しわけないですけれども、余り利用していませんけれども、私の知っている人で、車いす使っている人でしょっちゅうプールに入っている人がいます。じゃあその人たちが無料で使っていて安く利用しているから、私は損をしたかというと全くそんな気分になりませんよね。それで、私があしたから急に気が変わってプールに行こうと思ったら、車いすで行きやすいような施設になっているわけです。それは税金を投入してそういうふうにやっているからです。そういうふうに考えたら不公平感はないわけです。年金の問題にしても、例えば年金がもらえる年齢前に亡くなるかもしれない。それでも払うわけですよね。
 だから、いつ利用するかもしれないし、利用できないかもしれない。そういった意味において、私というものを、将来の受益者として考えたときに、ある意味公的な存在でもあるんじゃないかというふうに思うんです。そうすると、利用した者だけが、何かを受け取った者だけが受益者ではないというふうに考えた方がいいんじゃないかと考えます。
 そうすると、市長は、こういう流れを受けて、昨年11月議会の答弁の中で受益者負担の適正化についての統一的な基準を1年以内をめどにつくりたいというふうにも言ってみえました。それから一昨日の本会議のときにも、施設利用の子供料金の件については、今後公的関与のあり方の中で何か示していきたいみたいなことを言われていました。これは議論の順番がどこか間違っているんじゃないかと思うんです。基準も示さない、一方で、あることについては公的関与のことを議論してから決めるんだというふうに言っているわけです。私がいらいらする原因というのはこういうことにあると思うんです。議論の順序がおかしいんじゃないかと。
 そこで、私は市長に聞きたいわけです。今回の予算案に示されている改革というこの受益者負担をどんどんやるということは、名古屋の福祉の根本的な転換に当たるのかと、そういうふうな認識があるのかということをまず聞きたいです。
 それと、この受益者負担の原則の議論が私にとっては終結していないまま今回改定を行ったというふうに思うわけですけれども、それでも原則は、なぜ改定を今回この2分の1ということで行ったのか。それとも何かある程度もう議論は進んでいると認識されているのか。そこのところを答弁していただきたいと思います。
 それと、私がさっき言いましたように、何か損得勘定なようだけの受益者負担になっているのではないかという指摘についてどのように考えるのか、これについてもお答えいただきたいというふうに思います。
 それと、あと、教育長と緑政土木局長にはそれぞれ同じことを伺いますので、これは端的に答えてください、時間がありませんので。なぜ高齢者のこの施設利用を大人料金の2分の1になぜしたのか。それから、見直しによってこの運営費に対する使用料の収支比率がどれだけ改善されるのかということを、その2点について端的にお答えください。
 
◎松原武久市長
 ただいま受益者負担の原則について、斎藤議員から、利用している人が得で、していない人が損、そのように単純にしか考えていないのではないか、いつかは自分が利用する人に回るかもわからないと、そういう気持ちで負担しておられる方があるのではないかと、そういった意味で受益者負担をそう単純に考えるべきでないと、こういうような御指摘をいただいたわけでございます。
 私どもは、今御指摘の社会福祉審議会の答申も受け、なおかつその前に出しました財政健全化計画、そういったものと全体的にリンクしているということは事実でございます。そういう中で、何度も申し上げて恐縮でございますけれども、例えば、スポーツセンター1館の運営費と、総支出が大体2億円ぐらいかかると、その中で収入が大体6000万円くらいである。こういったようなことをずっとやっていったときに、いろいろ箱物をつくりながら、そしてその中の事業展開をしてきました。そういった中で、このままやっていけるであろうかといったことを強く考え、そういう中で一部受益される方の御負担をお願いをしたいということでやってきたわけでございます。そういう中で、全体的な統一性がとれていないのではないかといった今御指摘もいただいたわけでございまして、それにつきましては、公的関与のあり方等々も含めまして今後できるだけ早くこの統一基準を出してまいりたいというふうに思っておるところでございますので、御理解をお願いしたいと思っています。単純なことで割り切ったわけではないと、このことの御理解をいただきたいと思います。
 私が今社会福祉審議会の答申、それから財政健全化計画、そういったものをリンクして考えたという中に、福祉の根本的な考え方を変えたわけではないということを、やや言ったわけでございますが、きちっと言わなかったこと、恐縮でございます。福祉の根本的な考え方を変えたわけではございません。

◎緑政土木局長
 有料公園施設につきましては、維持管理や整備に多くの費用がかかり、受益者負担の考え方と良好な管理というその両面から有料としておるところでございます。しかしながら、この料金につきましては、社会教育的な要素と都市魅力の形成と、そういった両面の効果も考慮しながら設定しているところでございます。
 今回無料で御利用をいただいておりました高齢者の方々にも、財政健全化計画の一環として一定の御負担をお願いしたいと考えておりますので、よろしく御理解をお願いしたいと思います。

◎教育長
 私ども、スポーツ施設のこうした公共料金というのは、非常に設定が難しい部分がございまして、基本的には他の同様の施設や、あるいは他都市の状況等を見ながら料金を設定してきているというのが実情でございます。今回の2分の1ということも、これは当然名古屋市全体で決めていく話の中で決めてきたわけでございますけれども、私どもの観点から他都市の状況を見ておりましても、名古屋市同様に全額無料としておりますのは、広島、北九州、福岡の3都市でございます。大阪と札幌は高齢者料金を設定しておりますが、その他は大人料金を設定しておりますので、よろしく御理解いただきたいと思います。

◎斎藤亮人議員
私は何で2分の1にしたかということを聞いているのに、その理由を端的に答えてください。それは他都市をまねしたっていうことですか。

◎教育長
 2分の1の設定理由につきましては、一つは、全市的統一ということの観点から、私どもその立場からやっているということと、それから、私どもだけの考え方で申しますと、他都市の例を参考にしながら見ましたときに、大人料金のまま、一般料金のままのところと無料のところと両方ありますので、その折半で2分の1にしたと、こういうことでございます。それから、公共料金につきましては、一般的に民間と全く同じというわけにいきませんし、公共的な役割というのがございます。したがって、そういう中で、そのバランスというものを考えたときには、やはり他都市の例を一つの参考にしながら考えていくのも一つだというふうに私どもは考えております。
 それからもう一つ、答弁漏れで失礼いたしました。どのぐらいの利用率がというんですか、料金が向上するかということにつきましては、私どもの試算でいきますと、今のところ五、六%だというふうに理解しております。これ、とらえ方によっていろいろありますけれども、プールだけで考えるとそういうことでございます。

◎斎藤亮人議員
 まず一つは、市長の福祉のあり方が根本的に変わっていないんだと。いつ変わるんですかね。何をもってしたら根本的に変わるんですかね。12年度の福祉、医療費の助成で所得制限を入れてきた。その後14年度にも福祉給付金の廃止だとか、その後15年度にも、福祉金のいろんな見直しをしていますよね。そういう中で、一方でそれは確かに子育て支援の方にシフトしてきたということはありますよね。じゃあ、こういうやり方をしてきても、まだこれ転換していないのかと、今度敬老パスの問題も出ているわけですよ。私、敬老パスの見直しというのは、一定程度内容については評価するわけです。私は、これは見直しをした方がいいんじゃないかというふうに言ってきたわけですから。その内容についてはある程度評価しますけれども、しかし、敬老パスのこの見直しでも名古屋市の福祉はまだ転換しないと言うんだったら、何があったら転換するんですかね。
 やっぱりこれはもう少し福祉の具体的な、例えばどういう方向に持っていくのかと。在宅福祉に持っていくのか、住宅政策に問題があるとか、いろんなことがあると思うんです。そういうことを何か語らなければいけないし、それを抜きに、まだ変わっていない、まだ変わっていないとずるずるずるずるやっている中で、こうやって変わってきているんですよ。これについて、やっぱりしっかりと明確にもう一回答えていただきたいし、それから、先ほど教育長や緑政土木局長が答えたのは、全市的な取り組みだというんだったら、市長が全市的に2分の1にしたというんだったら、その根拠をもう一回示してください。

◎松原武久市長
 再度御答弁させていただきます。福祉の問題を根本的に変えたわけではないと、こう申し上げておりますのは、例えば、福祉給付金の問題を昨年お願いいたしました。今回敬老パスの一部負担ということをお願いをいたしております。そういう中で、少子化対策で言ったことは、大変喫緊な課題であると、こういった問題も法整備もされて起きてきたわけでございます。そういった点を踏まえ、また一方で、福祉に関する義務的経費が非常な勢いで増嵩しておるといった状態もございます。そういう中で、今までやってきた制度を何とか継続的、安定的にやっていかれないかといったことを考えて今苦慮し、どのような形で御負担をお願いするかと、こういった中でやってきておることでございまして、根本的な方法を変えたというわけではございません。そのようなことについての御理解をいただきたいと思っています。
 それから、減免の2分の1にしたということにつきましては、先ほど申しました利用者や非利用者の公平性を担保する上から、受益者が負担する分と市が政策的な配慮から公費負担する分とを等分とするという考え方から2分の1に統一させていただいたわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。



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