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2004年09月21日

ドメスチック・バイオレンス対策について(2004年9月議会)

◎斎藤亮人議員
 平成11年に名古屋市が女性への暴力ということに関しまして調査を行いました。その答えは、6割の女性が被害経験があったと。そして、6割の男性に加害経験があったという結果が出ています。その意味では、数が一致しているわけであります。6割の人がそういった経験をしている、6割の人が加害を体験しているということを考えますと、これは極めて大きな問題ではないかというふうに思います。
 そして現在、名古屋市においてドメスチック・バイオレンス対策、DVと言いますけれども、DVに関する取り組みはどうかというふうに言われますと、基本的には総務局の男女平等参画推進室で行われているわけであります。じゃ、それ以外の部局でどういうふうな取り組みがなされているのか、明確な位置づけがある取り組みがあるかというと、私はそれはなかなかなされていないのではないかというふうに思うわけであります。例えば、現実的には母子寮等を弾力的に運用しながら、その中で緊急一時保護的なことはやっておりますけれども、健康福祉局の中で、事務分掌的にドメスチック・バイオレンスをこういうふうにするというようなものはないわけであります。そう考えますと、私はますますいろんな部局が取り組む重要性が、特に健康福祉局が取り組む重要性は高まっているのではないかというふうに思うわけです。
 DV法は改正されまして、新しい法律が施行されたわけですけれども、その中には、福祉事務所の責任として自立支援という項目が新たに定められました。福祉事務所は必要な措置を講ずることに努めなければならないというふうに規定が新たに定められました。やっぱりこの福祉事務所のことが新たに定められたということを私は強く受けとめる必要があると思いますし、何をすべきかが問われると思います。
 男女平等参画推進センター「つながれっと」では約2,000件の相談がありますけれども、その4分の1がDVの相談であります。そして、来所される方、240名ほど見えるわけですけれども、来所の相談の約半分、124件はDVの相談であります。しかし、いろいろお話を聞きますと、そこでお話を聞いても、具体的にどうするかという話になると、そこの「つながれっと」の中では福祉の権限がありませんので、また区役所に行かなければいけないというような、いろいろ二度手間になったり、そこでまたワンクッションあるようなことになります。そう思いますと、なかなかそこにすぐに対応できないというようなことが問題としてあるわけです。
 さらに、DV改正法の第3条の中でも、市町村は適切な施設を配偶者暴力相談支援センターに位置づけることができるというふうにしていますけれども、そのセンターを例えばこれから考えるとして、その機能を実質的にしようと思えば、福祉的機能がなければやっぱりいけないのは明らかであります。また、一方でDVの問題は児童虐待と密接に関係しているということも明らかになっています。ですから、児童虐待対策を進めようと、この間市長もいろいろと言われておりますけれども、そうであれば、DV対策も同時に進めなければいけない。そして、その意味でも、今言いましたようにますます健康福祉局の中で位置づけを明確にする必要があるのではないかというふうに思います。そこで、健康福祉局の中でドメスチック・バイオレンスを今後どのようにして位置づけていくのか、取り組みをしていくのか、健康福祉局長にお伺いしたいと思います。
 次に、改正DV法では都道府県に基本計画の義務が策定されました。名古屋市には平成13年に定められました男女共同参画プランがありますけれども、この改正DV法を受けて、何らかの新たなアクションプランなり指針なり、いろんなことを考えていく新しい対応を迫られていると思いますので、新しい枠組みが必要ではないかというふうに思います。名古屋市は政令市で関係ないというのではなくて、名古屋市の都市の規模に応じた対策を考える、名古屋市は義務がないから何もしなくていいというわけじゃないと思います。この点について、総務局長にお伺いしたいと思います。
 3点目に、ドメスチック・バイオレンス対策費の創設ということを伺いたいと思います。現在、DV対策費というものは、民間のシェルターに出しています50万円の家賃補助が2カ所ということで、計100万円というふうになっています。あといろんな啓発とかそういうことについては、いろんな予算の中でDV対策もやっているということであって、DV対策に特化したようなメニューは、この100万円しかないと私は思っています。つながれっとで相談をしているといっても、つながれっとはDV対策のために位置づけられている施設ではありませんし、その意味ではワン・オブ・ゼムのような位置づけになっているわけです。市長は、児童虐待に対して強い決意で取り組むと公言されていますし、先ほど言いましたように、児童虐待と重なったり、それと裏表の関係にあるようなDV対策に対してもっと積極的な姿勢を示すべきでありますし、改正DV法の中には被害者の子への接見禁止命令が規定されたりしておりまして、その意味でも新たな取り組みを積極的に行っていく必要がある。そのためにはシェルターへの補助だけではなくて、DV対策事業費というようなものをしっかりと項目立てて予算の裏づけを持った取り組みが必要になってくるのだと思います。この点について、市長に伺いたいと思います。
 
◎松原武久市長
 ドメスチック・バイオレンス、DVは緊急かつ重要な課題の一つであると認識をいたしております。ただいま議員御指摘ございましたように、60%の人がその被害を受けておる、あるいは加害行為をしたことがあるといったことがある。同時にまた、これは幼児虐待とも密接に関連する部分があるといったことで、大変重要な課題であるというふうに私思っております。
 そのDVにどのように対処していくべきかを考えましたときに、DV被害者の安全確保はもとより、住まいや仕事の確保、あるいは子供の通学の問題など、生活再建と自立のため、実にさまざまな支援が必要であるというふうに思っております。それらを進めていくためには、多くの関係機関との連携が重要だというふうに思っております。特化した予算がないからと、こういった理由でそれぞれの事象に対応しないということがあってはならぬというふうに思っております。今後とも関係方面と十分に連携協力いたしまして、被害者支援の実効性を上げるように一層努力してまいりたいというふうに思っておるところでございます。

◎健康福祉局長
 現在、福祉事務所ではDVケースのうち被害者が子供と一緒の場合には、まず民生課児童係において相談に応じまして、緊急な場合には母子等緊急一時保護を実施するほか、必要に応じて母子生活支援施設などへの入所事務を行っております。また、その後、生活にお困りの場合には保護係で相談に対応するなど、それぞれのケースの状況に応じて自立に向けた対応に努めているところでございます。
 また、児童相談所におきましても、福祉事務所と連携してDV世帯の児童の一時保護を行うとともに、必要に応じて男女平等参画推進センターに児童相談所の児童福祉司が出向きまして、一緒に相談に応じる、そういった体制も最近とり始めたところでございます。今回、いわゆるDV法の改正の中で、福祉事務所に対して児童福祉法などの法令の定めるところにより、被害者の自立支援のための必要な措置を講ずる努力義務が明記されたところでございますが、ただいまお答えいたしましたとおり、実態としましては従来より福祉分野において、この問題には本来業務の位置づけの中で取り組んでいるところでございまして、今後とも、より一層関係局あるいは関係機関との連携を図ってまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

◎総務局長
 本年6月にDV防止法が改正されまして、それによりますと、国はDVの防止及び被害者の保護のための施策に関しまして基本方針を定め、都道府県は基本計画を策定することが義務づけられております。しかしながら、現在国の基本方針の具体的な内容につきましては明らかになってはおりません。一方、本市では既にDV対策も含めた男女平等参画推進のための長期計画といたしまして、男女共同参画プランなごや21を策定しております。この推進状況につきましても、毎年報告としてまとめ、その結果を公表しているところでもございます。本市といたしましては、今後ともこの男女共同参画プランなごや21に基づきまして施策を推進してまいりたいと考えておりますけれども、この改正法に示されました基本計画につきましても、国の基本方針が示されました後、改めて検討してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

投稿者 saito : 11:53

障害者への市営住宅の供給策 その1 抽選方法について

◎斎藤亮人議員
 私、2月議会で受益者負担のことについて伺いました。今、名古屋市の中では受益者負担という言葉とともに、公平・公正という言葉がよく使われるわけであります。公平・公正。しかし、この言葉がどうも私は四文字熟語のように軽く使われているんではないかということを考えているわけです。例えばそれを、車いす住宅等の障害者の市営住宅への入居の制度を例にとって考えたいと思うんです。今は、これ福祉向け住宅、抽せんをやっております。私は、抽せんをやって選んでいくこと、これは確かに公平だと思うんですね。いろんな横やりが入るわけではなくて、しっかりと公平に機会を均等にして選んでいく、その意味ではいいわけですけれども、私がいろいろ見聞きしたりいろんなことを体験しますと、本当に障害が重度で大変な人がなかなか当たらない、家庭の状況も大変である、こういったことは抽せんでは考慮されないわけであります。
 私は一定レベルの入居枠を設け、抽せんから外れた人の中から、その切迫度、緊迫性を考慮した選定をおこなう制度があってもいいのではないかと思います。
 特別養護老人ホームの場合、契約制度の中で先着順というのを是正するために、状況を見て順番を飛び越えるというようなことも実際やっているわけであります。これはある意味、公正さを担保するという意味でそういうこともやり始めているわけです。私は、こういうことを考えるときに、公平だけではなくて公正さを担保するという意味で、つくり方、基準というものは難しいものがありますが、一定程度の枠を入居選定委員会みたいなものをつくり選ぶという方法があってもいいのではないかと思います
市長は今の選考方法について公平・公正であるかということについて伺いたい。そしてまた、この入居方法について見直す考えはないか、健康福祉局長に伺いたいと思います。

◎松原武久市長
 市民の皆様の信託にこたえるために、かねてから公平・公正な市政運営に心がけてまいったところでございます。私どもこれを、仕事を円滑といいますか、うまく進めていくための隠れみのに公平・公正という四字熟語を使っているということはないというふうに私は思っているところでございます。
 市営住宅の入居募集につきましては、一般募集とは別に福祉向け市営住宅として、一人親世帯あるいは障害者世帯及び高齢者世帯の区分で実施をいたしておりまして、このうち障害者世帯におきましては、車いす利用者専用住宅とそれ以外の住宅との区分で募集をいたしておるところでございまして、個々の募集住宅に複数の方からの応募があった場合、公開抽せんで入居予定者を決定いたしておりますけれども、この公開抽せん方式は公平・公正な取り扱いであると考えておりまして、これまでも市民の皆様から理解をいただいているというふうに考えております。今後、これにかわる本当にいい方法があると、こういうことであるならば、またいろいろ考えてまいりたいというふうに思います。

◎健康福祉局長
 障害者の方を対象とした市営住宅の入居募集につきましては、一般募集のほか、福祉向け市営住宅募集を年2回実施しております。公開抽せん方式ではなく、入居選定委員会を設置などして優先順位をつけることにつきましては、市営住宅入居を希望される障害者の方は大変多く、例えば平成15年度の場合、70戸の募集に対しまして741名の方から応募があったところでありまして、これは身体障害者、知的障害者、精神障害者と広範な障害種別の方々からの応募でございます。これらの障害者の方々の障害状況、あるいは住宅の困窮度などにより優先順位をつける方法と、現行の公開抽せん方式とを比べますと、公開抽せん方式の方が市民の皆様から理解を得られるものと考えておるところでございますので、よろしく御理解賜りたいと存じます。
 なお、住宅都市局との連携につきましては、とりわけ障害者施策における住宅問題というのは重要というふうに認識しておりますので、今後とも十分連携を図ってまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

◎斎藤亮人議員
 市長さん、公平・公正を隠れみのにしてはいないと言われました。しかし私先ほど言いましたように、抽せんは公平だと、だけども、先ほど言ったような一人一人のニーズ、あり方に着目するということが本当に必要ではないかというふうに思うんです。そうでなければ、本当の意味での公正、公がかかわる意味というのは僕はないんじゃないかというふうに思うんです。その意味で、今の抽せん制度が公平・公正だというふうに言われてましたけれども、本当にほかにあるならばというふうに答えられました。もう一度その辺の公平・公正に関する感想だけを2点、市長と住宅都市局に伺いたいと思います。

◎松原武久市長
 再度お尋ねをいただきました。繰り返してまことに恐縮でございますけれども、障害者の方につきましては、一般募集とは別に優先枠を設けて市営住宅の入居募集を実施いたしているところでございます。先ほど健康福祉局長も申しましたように、個々の障害者の方の障害状況などによりまして優先順位をつけるという方法は、現状では公開抽せんの方式と比べてみたときに、かえっていろいろ難しい問題が起きるように思えます。そういう意味で、現状の公開抽せん方式の方が公平・公正であると。公正に関して、今、議員と私どもと見解が少し分かれておって、まことに申しわけないというふうに思っておりますけれども、現状ではこの方法でやっておると、このことを御理解いただきたいというふうに思います。

投稿者 saito : 03:14